新設:2011-03-03
更新:2017-11-01
静御前
松口月城
よしのやま
みねのしらゆき ふみわけて
入りにし人のあとぞ恋しき (靜)
紅唇綻び出ずる想夫憐
舞い去り舞い来って姿凛然
しずやしず
しずのおだまき くりかえし
昔を今になすよしもがな (靜)
座上の将軍顔色怒る
静姫の貞烈今に至るまで伝う
【通釈】
「よしのやまみねのしらゆきふみわけて入りにし人のあとぞ恋しき」と静が歌う歌には、夫・義経を恋うる心情が溢れ、歌に合わせて頼朝以下多くの武将の前で舞う静の姿は、りりしく犯し難い姿である。
さらに、「しずやしずしずのおだまきくりかえし昔を今になすよしもがな」と続けば、座上で見物していた将軍は、自分を恐れざることとして怒った。頼朝の心は妻政子のとりなしでおさまったが、この時の静の貞烈は今に至るまで語り草となっている。
【出所】
愛吟集31頁 新愛吟集19頁