奥の細道(平泉の一節) 松尾芭蕉 さても義(ぎ)臣(しん)すぐって この城(しろ)にこもり 功(こう)名(みょう)一(いち)時(じ)の 草(くさ)むらとなる 国(くに)破(やぶ)れて山(さん)河(が)あり 城(しろ)春(はる)にして 草(くさ)青(あお)みたりと かさ打(う)ち敷(し)きて 時(とき)の移(うつ)るまで 涙(なみだ)を落(お)としはべりぬ (夏草(なつくさ)や) 夏草(なつくさ)や 兵(つわもの)どもが 夢(ゆめ)の跡(あと) (兵(つわもの)どもが 夢(ゆめ)の跡(あと))
さても義(ぎ)臣(しん)すぐって この城(しろ)にこもり 功(こう)名(みょう)一(いち)時(じ)の 草(くさ)むらとなる 国(くに)破(やぶ)れて山(さん)河(が)あり 城(しろ)春(はる)にして 草(くさ)青(あお)みたりと かさ打(う)ち敷(し)きて 時(とき)の移(うつ)るまで 涙(なみだ)を落(お)としはべりぬ (夏草(なつくさ)や) 夏草(なつくさ)や 兵(つわもの)どもが 夢(ゆめ)の跡(あと) (兵(つわもの)どもが 夢(ゆめ)の跡(あと))
【通釈】 それはそうと、あの義経が、義臣をえらびぬいて、この城にたてこもり、その人たちが立てた功名や手柄も、一時のことで今は夢の如く空しい。国破れて、山河はそのままに残り城あとに、春が来ると草が青青と萌え出ている。笠を敷いて腰をおろし、ながい間、涙を落としておりました。 夏草がただ茫茫と生い茂っている。これを見ていると、その昔、栄華にふけり功名を夢みた武士たちの面影がうかんでくる。しかし、今はそのあともなくなってしまったことだ。