銀河の序
佐渡が島は 海上十八里とかや。
谷嶺の 険阻くまなく、東西 三十余里
波上に 横折れ伏せて、まだ初秋の 薄霧
立ちもあへず、さすがに 波も高からざれば、
唯 手のとゞく計になむ 見わたさるる。
げにや此島は 黄金 あまた湧き出でて、
世に めでたき島になむ 侍るを、むかし
今に 到りて、大罪朝敵の人々 遠流の境にして、
もの憂き 島の名に 立侍れば、冷じき 心地
せらるるに、
宵の月 入りかかる比、海の面 いと ほの暗く、
山の形 雲透に 見えて、波の音 いとゞかなしく
聞こえ侍る。
荒海や
佐渡によこたふ天の河
佐渡によこたふ天の河