新設:2012-10-30
更新:2017-11-01
山部宿禰赤人、富士の山を望る歌一首
并せて短歌
山部赤人
天地の 分れし時ゆ 神さびて 高く貴き
駿河なる 富士の高嶺を 天の原
振り放け見れば 渡る日の 影も隠らひ
照る月の 光も見えず 白雲も
い行きはばかり 時じくそ 雪は降りける
語り継ぎ 言ひ継ぎ行かむ 富士の高嶺は
田兒の浦ゆ うち出でて見れば
真白にそ 不盡の高嶺に 雪は降りける
【通釈】
天と地とが分かれた時から、神々しく 高く貴い 駿河の国の 富士の高嶺を ふりあおいで見ると 空を渡る太陽の 光も見えない 白雲もはばまれて行き難い 時ならず 雪は降っている 語り伝え 言い継いで行こう 富士の高嶺は
(反歌)
田子の浦を通って広々とした所に出て景色を眺めると、まっ白に富士の高嶺に雪が降り積もっているのであった
【出所】
万葉集 巻3 317 318 普及版吟詠教本 和歌篇(上)34頁
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吟者:上村岳章
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