和歌例示
吟詠詩歌 和歌例示
花の色は 移りにけりな
新設:2021-11-23
更新:2021-11-24



小町堂(秋田県湯沢市)
小町堂(秋田県湯沢市)
撮影:2021-10-18
 

  花の色は
         小野小町
 花の色は
   移りにけりな
  いたづらに
    わが身よにふる
      ながめせしまに

【通釈】
美しい花の色はあせてしまったなあ。むなしく春の長雨が降って、私がこの世のこと(男女の仲のこと)に関わって過ごし、物思いにふけっていた間に。
【出所】
古今集 巻2 春下-113  吟詠教本和歌篇 (上巻)58頁
【作者】
一般的には次のようにいわれている。生没年不明、生誕終焉地不明、六歌仙の一人とされる平安前期(9世紀中頃)の女性歌人で、宮中に仕えたともされる。この歌は百人一首の一つ。
ただし、秋田県湯沢市が設置の「平安の時を偲び語り継がれる小町伝説」とした案内板「小野小町」に次の説明が記されている。
小野小町は、今から1200年ほど前、大同4年(西暦809)に出羽国福富の荘、桐の木田で生まれました。小さい頃より容姿や才覚に優れ、当時の六歌仙、三十六歌仙にも名を残し、世界三大美人の一人といわれています。
小町は13歳の頃に京にのぼり、16歳で宮中に仕え、帝の寵愛を受けたともいわれていますが、故郷恋しさに36歳の頃ふる里に帰りました。晩年は世を避け、一人で岩屋洞に住み、歌を詠み、香をたきながら自像を刻み、92歳でその生涯を閉じました。
ここ湯沢市小野地区には連綿と受け継がれた小町のやさしくも哀愁に満ちた物語が根付いており、毎年芍薬の花香る6月第2日曜日には「小町祭」が盛大に行われています。
秋田県湯沢市のJR奥羽本線横堀駅から徒歩15~20分圏内にある小野小町ゆかりのところ3ヶ所を写真で紹介する。
なお、小町が籠もったと伝わる岩屋堂は雄物川の反対側、高令者が独り徒歩で訪ねるのはリスクが伴うのでやめた。
【蛇足】湯沢市は「岩屋堂」としているが、洞窟であるので「岩屋洞」とすべきものと思われるが……
小町の郷公園に建つ小町像
小町に想いを寄せた深草少将像と向き合う
小町自作と伝えられる木像安置の
小町菩提寺とされる向野寺(こうやじ)
小町の父・小野良実が802年に建立し
1672年(寛文12)に再建の熊野神社
撮影:2021-10-18