新設:2010-11-20
更新:2017-11-01
江南の春
杜 牧
千里鶯啼いて 緑紅に映ず
水村 山郭酒旗の風
南朝四百 八十寺
多少の 楼台煙雨の中
【通釈】
千里のかなたまで広がるこの江南では、ウグイスが鳴き草木の緑がくれないの花に映えてひときわ美しい。水べの村や、山ぞいの村には、酒屋ののぼりがはためいている。思えば、その昔このあたりは南朝の都があったところ。当時四百八十もの寺院があったというが、今もなおその名残りを示すかのように、多くの堂塔がけむるような春雨の中にかすんでいる。
【出所】
普及版吟詠教本 漢詩篇(二)145頁