漢詩例示
吟詠詩歌 漢詩例示
不識庵機山を撃つの図に題す(川中島)
新設:2010-11-20
更新:2022-11-01

()(しき)(あん)()(ざん)()つの()(だい)
頼山陽
鞭声(べんせい)粛粛(しゅくしゅく)(よる)(かわ)(わた)

(あかつき)()千兵(せんぺい)(たい)()(よう)するを

()(こん)なり十年(じゅうねん) 一剣(いっけん)(みが)

(りゅう)(せい)光底 (こうてい)(ちょう)()(いっ)

 題不識庵撃機山圖
         鞭聲肅肅夜過河 
         曉見千兵擁大牙 
         遺恨十年磨一劍 
          流星光底逸長蛇
【通釈】
馬にあてる鞭の音もひそやかに、上杉勢は夜陰に乗じてひそかに河を渡った。夜明け方、川霧の晴れ間から上杉の大軍が、大将旗を押し立てて、武田勢の前に陣取っているのが見える。謙信にとって返す返すも残念なことは、長い年月の鍛練で磨いた腕前もかいなく、流れ星のきらめく一瞬の差で、強敵信玄を逃がしてしまったことだ。
【出所】
普及版吟詠教本 漢詩篇(一)20頁
信玄と謙信一騎討ちの像(川中島古戦場)
信玄と謙信一騎討ちの像(川中島古戦場)