俳諧歌例示
吟詠詩歌 俳諧歌例示
老木桜
新設:2012-01-15
更新:2017-11-01

(おい)()(ざくら)
小林一茶
或る山寺に
うつろ木の(ひとつ)なん 有ける
今にも枯るゝばかりなるが
さすが春の しるしにや
三ツ四ツふたつ つぼみけるを

   浅ましの 老木桜や (あす)が日に
     倒るゝまでも 花の咲く哉
     倒るゝまでも 花の咲く哉



          老 木 桜
                        一茶
        或る山寺に
        うつろ木の一なん 有ける 
        今にも枯るゝばかりなるが
        さすが春の しるしにや
        三ツ四ツふたつ つぼみけるを

         浅ましの 老木桜や 翌が日に  
          倒るゝまでも 花の咲く哉
          倒るゝまでも 花の咲く哉

【通釈】
或る山寺に、今にも枯れそうな中が洞になっている老木が一本あった。それもさすがに春の兆候であろうか、生きている証しとして少しばかりのつぼみをつけている。
明日にも枯れ倒れてしまいそうな姿の桜の老木は、意外にも、まだ花を咲かせていることだ。
(これは、桜の木にたとえた一茶己れの姿でもある。)
【出所】
吟詠教本 俳句・俳文・俳諧紀行文・俳諧歌・近代詩 篇 86頁

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吟者:平木岳栄