漢詩例示
吟詠詩歌 漢詩例示
無欲
新設:2010-09-29
更新:2017-11-01

()  (よく)
良 寛
(よく)()ければ一切(いっさい)()
  (もと)むる()らば(ばん)()(きゅう)
淡菜(たんさい)(うえ)(いや)すべく
  (のう)()(いささ)()(まと)
(ひと)()きて()鹿(ろく)(とも)とし
  (こう)()して村童(そんどう)()
(みみ)(あろ)(がん)()(みず)
  (こころ)()なり(れい)(じょう)(まつ)




無 欲
      無欲一切足 有求萬事窮
      淡菜可療饑 衲衣聊纏躬
      獨往伴麋鹿 高歌和村童
      洗耳嵓下水 可意嶺上松

【通釈】
欲がなければすべてに満足するが、欲求をあらわにすればなにごとにもゆきづまってくる。少しの野菜でも空腹を満たしうるし、そまつな僧衣でもどうやら身にまとうこともできる。山野をひとりで歩きまわっては鹿たちと連れになり、また村へ下っては声を高く張り上げて、子供らの歌に一緒になって歌い出す。岩の下の水は汚れた耳を洗い浄めるによいし、嶺の上の松は心を慰めてくれる私のもっとも気に入っているものなのだ。
【出所】
普及版吟詠教本 漢詩篇(一)66頁
榊原郁夫作「耕す」
榊原郁夫画「耕す」
榊原郁夫作「良寛閑居図」
榊原郁夫画「良寛閑居図」
榊原郁夫作「国上山五合庵」
榊原郁夫画「国上山五合庵」