漢詩例示
吟詠詩歌 漢詩例示
九月十三夜
新設:2011-05-05
更新:2017-11-01

()(がつ)(じゅう)(さん)()
上杉謙信
(しも)軍営(ぐんえい)()ちて(しゅう)()(きよ)
数行(すうこう)()(がん)(つき)三更(さんこう)
越山(えつざん)(あわ)()たり(のう)(しゅう)(けい)
遮莫(さもあらばあれ)()(きょう)遠征(えんせい)(おも)

    九月十三夜
     霜滿軍營秋氣清
      數行過雁月三更
      越山併得能州景
      遮莫家鄕憶遠征



荒川竹永(翔風吟道会荒川岳深)書「九月十三夜」
荒川竹永書 七言絶句「九月十三夜」
(翔風吟道会 副会長 荒川岳深先生の書)
第30回記念隊友美術展
(隊友会横須賀支部主催)会場にて
2011-4-20 撮影


【通釈】
霜は真白く陣屋に満ちて、秋の気はあくまでも澄んでこの身にしみてくる。空には幾列かの雁が鳴き渡り、真夜中の月は中天に皎皎と冴えわたっている。その月明りのもとに越後・越中の山々、更に今わが手に収めることができた能登の景色が見渡せる。ままよ故郷の者たちは、我等遠征の身を案じているだろうが、こよいはそれを忘れて、心ゆくまでこの絶景をさかなに歓をつくそうではないか。
【出所】
普及版吟詠教本 漢詩篇(一)9頁